思考とは、うまく忘れること

考えていない人はいない。人は毎日何かを考えている。私たちは1日6万回以上も思考していると言われているが、その9割が同じことを繰り返し考えているそうだ。堂々巡りをしている。仕事のミスで取引先に怒られ、他人の何気ないひと言に傷つき考え込んでしまう。ときには考えて解決する方法が見つかる場合もあるが、稀である。情報や経験、起こったこと出来事をうまく処理できていないかもしれない。

本の紹介

思考の整理学というからには、考えを整理する方法が書かれているかというと、そうではない。ノウハウの本ではなく、外山氏による考えを整理するための工夫がエッセイと共に書かれている。情報過多になっている現在ではその情報を整理することが欠かせないが、本書ではその答えを示さず、押し付けず、経験的に学んだ事実を教えてくれている。考えを学びに変える実践的な方法を紐解く。

この本のベネフィット

  1. これから研究課題を探そうとする大学生がいかに自分の考えを持つことができるのかがわかる
  2. 大学を卒業して社会人になろうとする新卒者。社会で役立つ能力を知ることができる
  3. アイデアのノートを作るに際にどのように作れば良いかが参考にできる

著者のプロフィール

外山滋比古

とやま・しげひこ/1923年、愛知県に生まれる。東京文理科大学英文科卒業。同大学特別研究生修了。専門は英文学。『英語青年』編集長、東京教育大学助教授、お茶の水女子大学教授、昭和女子大学教授などを歴任。文学博士。お茶の水女子大学名誉教授。『日本語の論理』『日本語の個性』『思考の整理学』『ことばの教養』『省略の詩学』『自分の頭で考える』『ユーモアのレッスン』ほか著書多数。『外山滋比古著作集』(全8巻)がある。時代を超えて東京大学で売れ続ける一冊の本があります。過去10年で7度も東大で売り上げ1位に輝いた、その本こそ「思考の整理学」(ちくま文庫)。

読みどころポイント(抜粋)

  1. 新しいことを考えるのに、すべて自分の頭から絞り出せると思ってはならない。無から有を生ずるような思考などめったにおこるものではない。すでに存在するものを結び付けることによって、新しいものが生れる。
  2. 思考の整理とは、いかにうまく忘れるか、である。
  3. 本当の人間を育てる教育ということ自体が、創造的である。

学んだこと・気づいたこと・実践したこと

学生時代から暗記に精を出してきた。暗記イコール頭が良いと思い、記憶術の本を買いあさった。試験の9割は暗記だと誰かがいったことをいまだに覚えている。

一般的に学校の成績が優秀であったり、試験で高得点をあげる人を頭が良いといい、暗記が物を言うに違いないと考えていた。そのためのキーとなるのは、どれだけ頭に情報を詰め込んでいるかだ。つまりコンピューターのように情報をインプットし、問題に対する解に速く正確にたどり着く能力が求められていると思っている。

しかし暗記は苦手である。重要だから覚えておこうと思うのだが、なかなか覚えられない。後悔先立たずというけれど、忘れ物や失敗をしてがっかりする。あのときは覚えてたはずなのに忘れてたと。

先日も、コロナ渦でマスクを外出時もっていくようにしていたが、カバンを変えたため家に忘れてしまったことがあった。家を往復してはじめて「車にも積んどけばよかった」と後悔する羽目になった。

道を間違えることも日常茶飯事だ。車でときどき行く店があるのだが、この店に行くのが、私にはややこしいらしい。曲がらないといけない道をまっすぐ走ってしまい道に迷う。これが一度ではなく何度か失敗を繰り返すからどうしようもない。気を抜くと曲がるのを忘れてしまい、迷子になってしまう。

そういえば先日も同じ失敗をしたっけな。同じ道を間違えて気づく。

失敗して考える。

後悔して考える。

これが私の日常であり、考えることにつながっている。が、学びになっていない。

この本を読んで、私にはひとつ足りないことがあることに気づいたのだ。それは、失敗、後悔して身につけた体験や知識を「知恵」にしていなかったことである。

だとすると、外山氏から良い方法を教えてもらった。

それが「自分だけのことわざ」をつくること。これは頭で考えないとことわざにできない。失敗を振り返りなんとか記憶に残そうという努力である。失敗を失敗のままにせず知恵にするのだ。そのため頭に入りやすい覚えやすいことわざにしてしまおうという考えは名案だ。

そこで、一読

「学んで覚えて、忘れて失敗。これぞ、諺にして工夫すべし」

ひとこと

Education is what remains after one has forgotten what one has learned in school. The aim must be the training of independently acting and thinking individuals who see in the service of the community their hightest life problem.

教育とは、学校で学んだことを一切忘れてしまった後に、なお残っているもの。そして、その力を社会が直面する諸問題の解決に役立たせるべく、考え行動できる人間を育てること、それが教育の目的といえよう。

アルベルト・アインシュタイン(Albert Einstein 、1879年3月14日 – 1955年4月18日)

本の紹介

思考の整理学

著者:外山滋比古/とやましげひこ

発行所: 株式会社筑摩書房

発行日:1986年4月24日(第一刷発行)/2008年3月20日(第42刷発行)

単行本 : 217ページ

  • Amazon 売れ筋ランキング: – 3,776位 (2021/02/16現在)

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